私は生まれてから29年ずっと実家暮らしで、その実家も私が生まれてから1度も引っ越していないし、現時点では引っ越す予定もない。つまり私は引っ越しそのものの経験がない。
引っ越しが決まったらどういうプロセスを踏むのか、作業がどれほど大変か、新居にどういう感情を抱くのか。ネットで調べても知識だけが増えて実感は微塵も湧かない。
それが今朝見た夢の中で初めて引っ越しを味わった。
内容は実家自体が引っ越すもので、全く知らない土地の全く知らない部屋にたくさんの段ボールに囲まれて、初日の夜を迎えていた。
仮想空間だから偽りの記憶とはいえ、家具も荷物も一切ない前の実家の姿を初めて見た日を思い出して寂しくなり、その実家に新しい誰かが住むことで以前と同じ夜に部屋が灯っても私たち家族ではないことに更に寂しくなった。
その29年住んだ家に私たちの存在は残っているのかな。それでは次の人が住めなくなるから完全消去しないといけない。賃貸なんだから当たり前だろ。でもね、やっぱり難しいです。
リビングの壁に止めてあるボロボロに黄ばんだ小さいコピー用紙、あれ母のほくろが皮膚ガンかもしれないと検査する1週間前に中学1年の兄にATMのやり方とか洗濯機の使い方とか生活に必要なこと書いたメモなんだよね。まあ検査したら良性だったから必要なくなったし洗濯機も変わったけど25年経っても止めてたよね。
そういう端から見たらたぶん意味不明なものが今のあの家には残ってないんだよね。
どうしよ、すごく悲しくなってきた。
どうしよ、すごく悲しくなってきた。
ここで目が覚めた。
いつもの部屋で、いつも寝てる布団の上だった。
息はやや荒くて、意外と泣かなかった。
文字化してみたら思ったより悲しくなりました…苦笑
あと行ってみたらトイレのシールもリビングのメモもありました。