※これは9月30日深夜の話である。
台風24号の影響なのかリビングのどこかから「カタカタカタカタカタカタ」という謎の音が長らく響いている。
心霊現象のラップ音かといえばそうなのかもしれないが、暴風警戒域が関東に突入してから、特に外が強風が吹いた瞬間に音が強く鳴るから台風の影響だと思う。
たぶんベランダにある使っていない植木鉢が壁にもたれ掛かるようにくっついていて、強風が吹く度に離れて→付いて→壁を叩いて→振動音が部屋に広がるまでの一連の作業を繰り返しているのだと予想される。
数分程度ならまだしも30分、1時間、2時間も続くと精神的に来るものがあって、外は真っ暗な上に強い雨風が吹いていて気が引けるがLED懐中電灯を持ってベランダに出た。
容赦ない雨風で床が荒れた狭いベランダをゆっくり歩きながら、リビングの壁にくっついた植木鉢を探すがそういう物はなかった。それどころか何もなかった。小さい物置、ガーデン用具、廃棄の日用品、何もないし壁を叩くほどの強度があるものがない。だからこそ余計に不思議だった。原因が分からないと何も対応が出来ないが、何もしないと音が鳴り続けるので不必要だが壁から離れたエアコンの室外機をやや遠くに動かした。
リビングに戻るとカタカタ音が先ほどより大きくなった。何故なんだ、置いた場所の風向きが良くなかったのか。またベランダに戻って先ほどの位置に戻した。ベランダに戻るとカタカタ音の大きさは変わらなかった。どうやら先ほどより悪化したようだ。
もし仮説のラップ音なら、あの室外機を動かしたことで封印した怨霊でも放たれたのか。築35年の賃貸3階ベランダ床だぞ、そんなピンポイントに眠る怨霊って何だよ。下の階の人は眠る怨霊を毎日下から見てるのか、面白いじゃないか。今からでもお邪魔したいが、日付変わる深夜だし放たれた後だから行っても意味がないから止めておこう。
そんなことより音の原因を早く調べなきゃいけない。次に私が目を付けたのが網戸だ。強風で網戸を揺らされて、この音が現れたのではないか?
新しい仮説を基に私は網戸を外してみた。だが外した網戸をベランダに置いておくわけにもいかないので、わざわざ玄関まで運んだ。さあここまでやれば大丈夫だろう、いざリビングに行ってみたら、相変わらずカタカタ鳴っていた。
もう嫌気が差してきた。ここまで原因が分からないと意地になりそうだか、それより疲労の方が上回っていた。もうこのまま寝ることにしよう…と準備をしていた途中で盲点に気づいた。リビングのスライドドアの鍵をまだ掛けていない。
そうだよ、網戸の先にあるドアこそ揺れたからこんな音が出るんだ。なぜこんな単純なことに気づかなかったのだろ、自分のバカ!
意気揚々とドアの鍵を掛けたら音は消えなかった。それどころか先ほどより更に大きくなった。
もう寝るっ!!!
嵐を明けると爽やかな日差しの朝になっており、起きた後のリビングは鳥の鳴き声が聞こえるほど静かだった。
今日は生ゴミの日だからゴミをまとめて玄関に行ったら、玄関ドアを遮るように網戸が斜めに壁にもたれ掛かっていた。
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【あとがき】
【あとがき】
もう秋本番なのに台風24号なんかが来て、やっと去ったと思ったら南沖に台風25号とやらが24号のコースを辿ってる可能性があるときた。
もし各家庭が台風対策してるとき、死に装束で作業している男性を見かけたら私だと思ってください。口にくわえてる釘は、たぶん雨戸対策に使うのでしょう。ウチのはサッシだけど…。