私の右手首には革紐製の腕輪が付いている。
父が趣味で作った物で、最初は「カッコいい!」「オシャレ!」とかそういう感情はなく、「貰える物は貰うし、左手首は腕時計付けるから手ぶらな反対側に付けるか」ぐらいの理由で右手首に付け始めた。
「まあ飽きたら外せばいいし」
そう思ったのが6年ほど前で、日常生活する上で葬儀参列の場面以外で支障がなかった結果、今に至るまでずっとそのまま付けている。
そもそもこの腕輪は1本の長い革紐から構成されているので腕時計みたいな接続部分がない。また革製なのでゴムバンドみたいに伸縮性はない。そして輪の直径も少し小さめなので、数年に1度の外すときは最短でも1分間は右手が青紫色の鬱血状態になることを覚悟しなくてはいけない(これも腕輪を外さない理由の一つでもある)。
だから風呂の間も(上がったあと比較的早く乾くので)付けたままなのだが、それが一昨日、翌日(昨日)の出掛ける関係で風呂中に外して、普段以上に細かく洗浄した後は芯まで乾かすために玄関の棚に置いといたら、数時間後どこかに消えていった。
棚の引き出したちを見ても、落ちたであろう玄関の地べたを見ても、もしかしたら外に出たかと見回っても、その影は一切なかった。家族に聞いてみても動かした覚えはないらしいので、いよいよ詰んできた…。
「明日のために準備したというのに、困るなぁ…」
どうにかしたくても何も出来ないモヤモヤした状態で私は布団に入った。
翌朝、まとめた燃えるゴミ捨てに玄関の茶色いサンダルを履いたら、片足の先に違和感を感じた。片方の中を取り出してみると腕輪が入っていた。まさかの保護色で隠れていたわけだ。
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【本日の参考文献】
門田美鈴
扶桑社
2014-05-17
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【あとがき】
むしろ最初から何も期待しないで付けていた物の方が長持ちすることありますよねぇ。
学生時代カバンに何となく付けてたキーホルダーが卒業式の日まで生き残ったり、それほど気に入って買ったわけでもないTシャツが5年経っても普段着に着ていたり、執着心がない物ほど長いお付き合いする羽目になる現象があるような気がします。
腐れ縁? そういう関係です。
そして腕輪付けた後の外出の件なんですが、執筆のスピードが可能であれば明日・明後日ぐらいに外出先の模様を書こうと思いますので、今日はここらで早めに切り上げます。