一昨日から続いているレジネタではないが、昨日と同じスーパーでの話である。
いつも利用している近所のスーパーでは出入り口の自動ドア前(店内側)に無人の小さな花束コーナーがある。冠婚葬祭向けの畏まった花束やプレゼント向けの華やかな花束などが店前の傘置き場みたいに立て掛ける形で、大きなアルミ製の箱の中に陳列されていて、お客はお野菜買うときと同じ買い物カゴで花束をレジ会計ができる。
いわば無人の花屋的な役割をその小さなエリアが担っている。
その日はいつものように晩ご飯の材料を買って、スーパーの出口に向かう途中、その花束コーナーに立派な真っ青の花束が一束だけ置かれていた。
その花束は同じ形の青い花が4~5本の1セットで作られており、普段なら少しばかりの癒しに歩きながら眺めて終わるのだが、そのときは違った。むしろ座り込んで見てしまった。
昔から植物が好きで育てていて、花屋に売っていそうなポピュラーな植物は一通り見てきたが、その花は今までで初めてだった。
「これ、青のガーベラかな…?」
ちなみにガーベラに青色は存在しない。植物学的にガーベラには不可能な色だからだ。だけど世の中には青のガーベラは確かに売られてはいる。でもそれは白のガーベラを色水の吸い上げ技術で青に染め上げた人工のガーベラだ。
それでも希少な品種なので扱う花屋は少なく、それこそ都会のオシャレな花屋ぐらいでしか実物は見られない。その希少性と美しさから付いた花言葉は『神秘』。
そんな神秘の花が今、目の前にある。
仮にこれが人工栽培で時期関係なく置いているとして、まず本当にガーベラかどうかはっきり言って自信はない。いくら好きでも知識は基礎レベルで、もっと専門的な花だったらもうお手上げだ。まあこんなコーナーにあるのだから手を上げるほどのものでもない気もするが、もしこれが時期の違う青のガーベラなら私はこのスーパーを見直す。
さて、ここまで散々遊び尽くしたから答え合わせをするとしよう。
側面に貼られている花束の商品名を見てみた。
そこには『季節の花束』とだけ書かれていた。
いや『季節の花束』って何よ…。
今の季節に咲くベストセレクション花束なの?
ならガーベラと季節が違う。半年も違う。
今の季節で咲く青い花で何があったか。
同じキク科なら青のシネラリアなんて該当する。
やっぱり青のガーベラなのかな…?
値段いくらぐらいだろう。
本物ならば4~5本で3000円オーバーぐらいが相場だと思うが…。
側面の商品価格「750円」。
うん、青のガーベラではないな。
消費税込みでも810円だ。
小さいガーデンガーベラの鉢ならホームセンターで200円辺りだが、花束になるような大輪種なら2000円はするぞ。
破格すぎる値段だ。
もしかして造花なのかもしれない。
それなら少しは納得できるぞ。
識別に花びらを触ってみた。
しっとりとした感触の本物だった。
そして触った指には濃い青色のインクが付いていた。
「…………」
今までが何もなかったかのように帰った。
2日後の買い物では、あの神秘の花束はもう消えていた。
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【あとがき】
結局何だったんでしょう…。
途中からガーベラ、ガーベラとしつこい記事になりましたが、それぐらい神秘の存在なんです。
何なら途中まで買おうか悩んだぐらいです。すごく安かったし。
結果的に買わなくてよかったですが、買ったら買ったでネタになったのでジレンマです。
もっと明確に書くと論文級のレポートの長さになるので、ここで書くのは控えますが(ウソです書けるほど頭良くないです)、もし将来この色のキクが花屋で並ぶと思うと、暗い私の将来がちょっと明るくなります…!
そういえば最近『ボケ』を買いました。
暖かい室内に1週間ほど置いていたら咲いてきました。