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好きと得意は別の話というか別の次元。

【“アジア産ゾンビ映画の最高傑作”が日本で感染拡大されなかった理由 -- 映画評『新感染 ファイナル・エクスプレス』】


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  監督:ヨン・サンホ
  脚本:
ヨン・サンホ
  原作:オリジナル
  主演:コン・ユ、マ・ドンソク
ジャンル:ゾンビ、スリラー
 製作年:2016年
 製作国:韓国
上映時間:118分
  評価:★★★★★
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【あらすじ】
 
 ファンドマネージャーで仕事人間の主人公ソグは、妻と別居し、実母と娘スアンの3人で首都ソウルのマンションに暮らしていた。
 
 もうじき誕生日を迎える娘に、ソグは何が欲しいか尋ねると「プサンにいるお母さんに会いたい」と言う。仕事が忙しいと一度断ったソグだったが、娘との関係を直したい気持ちを考え、翌朝2人はソウル発・プサン行きのKTX101列車の3号車に乗り込んだ。
 
 KTXがソウル駅を出発するが、発車する直前、12号車にてひとりの女性が異様な様子で駆け込んできた。同時刻、発車直後に車窓を見たスアンは駅員が何者かに襲われる様子を目撃したが、他の乗客は誰も見ていなかった。
 
 一方、駆け込んできた女性は廊下で倒れ、介抱した女性乗務員に噛みついた。駆け込んできた女性はゾンビウィルスの感染者であった……。
 
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【感想的な雑文】
 
 普段あまり観ない(というか初めて)韓国映画から凄いゾンビ映画が現れたとのことで観賞。
 
 何と…これは…凄すぎないか!!?
 
 世界中にある過去ゾンビ映画の中でもトップファイブに入る完成度だし、心が揺さぶられる部門で言えばナンバーワンだと言いたい。
 
 まさかゾンビ映画でここまで号泣させられると思わなかった…。
 
 家族や友人や恋人、誰か大切な人のことを想像して観ると(某中年会社員を除いて)彼らの行動に共感する。
 
 特に妊婦の旦那がカッコよすぎる…!!
 
 どう人生歩んだらあんなにカッコよくなれるんだ!?
 
 将来自分に嫁と子供ができたら、あそこまで守ることできるか…(それ以前に旦那の筋力が桁違いなので最低限の筋トレはしておこう)。
 
 また本作の舞台となるKTX(韓国の高速鉄道。分類的には新幹線ではないので邦題のダサさが際立つ)の車両を移動する際、各車両にいるゾンビたちを乗り越えないといけないのだが、これが車両特有の細長い部屋を上手く利用していて、横スクロールのゲーム画面をイメージさせる。だからなのか生きるか死ぬかの最中なのに大変ドキドキする。
 
 次々と襲いかかる障害にどう乗り越えるか、一般車両だから銃も刃物もないし(せいぜい野球部のバットぐらい)、乗客も一般人だから基本的に武器は扱えない。ゆえに登場人物たちの知恵と行動が目立つ。この悪条件を用意した製作側のセンスに相当のものを感じた素晴らしいっ!!!
 
 あと場面場面に出てくる無駄にエモいシーンは、この凄惨すぎる世界に残る数少ない優しさなのか、この監督とスタッフの愛情が感じた。本当カメラワークが美しすぎるんだよ…!!!
 

 

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【本日の参考文献】

シム・ウンギョン
2018-01-01
楽天ブックス
 
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 ちなみに個人的に笑いのツボ的な意味でウケたのが、序盤に出てくるバイオ工場事故による防疫の車道検問での会話。
 
 トラック運転手「またブタを埋めるのか?」
 
   車道警備員「口蹄疫じゃなくて」
 
 トラック運転手「今度またブタ埋めたら ただじゃおかない」
 
 2010年に宮崎県で口蹄疫が流行った時、韓国でも「口蹄疫が流行っているのでは?」との疑いがあったが、韓国政府は「そんな事実はない」と回答した。
 
 ただ現地の地方新聞などで感染の可能性が確認されてるのでWHOなどが現地調査を申請したが政府は頑固突っぱねて、そして同時進行で感染したブタたちを殺処分していたが、ブタの数があまりに多すぎて薬殺用の薬が足りず、極秘に大量のブタを生き埋めした噂が世界中に広まった(CNNなどは証拠映像を公開したが、日本のマスコミは一切報道しなかった)。
 
 政府的には後にも先にも口蹄疫などない方向で進めたい中での、この“また”が付く会話である。
 
 なかなかアナーキーなことやってくれるじゃねえか!
 
 --などなど一度観ただけでは抱えきれない評価を踏まえて、もっとこの作品の存在を世間に広まってほしいと心から願いたい。
 
 日本では興行的にヒットしなくて、ほとんどの劇場は2週間足らずで終わったが、大きい原因の二つにダサすぎる邦題とあまり宣伝されなかったところがある。
 
 前者はともかく、後者はなぜ宣伝されなかったんだろう。
 
 ……口蹄疫かな?