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好きと得意は別の話というか別の次元。

【美術評『不思議の国のアリス展-横浜会場』アリスの歴史をアリスと一緒に】

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  作者:ルイス・キャロル
ジャンル:児童文学
 開催年:2019年
  会場:そごう美術館(そごう横浜6階)
  主催:そごう美術館、東映
観覧時間:120分
  評価:★★★★★
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【あらまし】

 イギリスの作家ルイス・キャロルの世界的名作『不思議の国のアリス』。誕生から約150年、170もの言語に翻訳、発行部数1億部を超える児童文学の傑作はいかにして誕生したのか。その秘密を貴重な書籍(初版本)と彼のスケッチから紐解く……。
 
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【感想的な雑文】

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 幼少の頃から慣れ親しんだそごう横浜前の大時計を左横目に、地下1階の賑やかなデパ地下に繋がるメイン出入り口から徒歩1分にある中央エスカレーター。そこから6階まで上がって直ぐに現れるのが《そごう美術館》。

 その美術館で現在開催されているのが『不思議の国のアリス展』である。

不思議の国のアリス』は昔から親しみがあり世界観も好きなのだが、実は正式には読んだことはない。それでもあらすじを知っているのは、目から耳からの噂だけで話せる程度の情報に足りるほど国民的に有名である証拠だと(読んでない身分のくせに)私は思う。

 今回は歴史的に貴重な資料を元にアリスを3章に分けて読み説いていくのだが、まずは入ってすぐに曲がらないといけない入り口で顔がその先を向いた瞬間から《第1章:始まりの話-アリスの誕生》が始まる。

 物語が生まれたキッカケは意外にも単純で、1856年、オックスフォード大学で数学教諭していたチャールズ・ラトウィッジ・ドジソンは交流のあった新学寮長の娘リデル三姉妹を楽しませるために即時的に話したおとぎ話に興奮した次女アリスが「また聴きたいから本にして!」とせがまれ、ルイス・キャロルというペンネームでまとめたのが最初だった。

 ルイスは豊かな想像力と好奇心をノートに描いたスケッチとともにアイディアを膨らませ、そのアイディアから当時人気の漫画雑誌『パンチ』で人気を誇った絵師ジョン・テニエルの作画によってルイスとアリスの見た世界が私たち読者にも可視化された。

 美術館の壁に飾られているのは挿画の下書きに使われたジョンのデッサンイラストが数十点。鉛筆で簡単に描いただけなのに、その構図は私たちが知っているアリスのイラストそのもので、数あるアリス作品の中でもおそらく世間的に認知されているディズニー版はかなり原作に忠実に製作されたのだと気づかさる(ちなみにディズニー版の原画も別室に展示されている)。

 アリスの愛読者の中でも原画や初版本を実際に読めた人は何人いるか。それだけでも足を運ぶ価値があった。

 誕生の国を抜けると、新たな森に迷う。

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《第2章:アリスの物語-不思議の国への招待》では、世界中で翻訳された『不思議の国のアリス』の挿絵を描いてきた後生のイラストレーターたちの原画を中心に物語の時系列に基づいて展示。もしかしたら貴方が読んだアリスの原画があるかもしれない。このときほど本を読まなかったことを後悔した瞬間も珍しかった。また第2章はこの展覧会で唯一の撮影可能エリア。だけど撮影条件はSNSにアップ用ではなく個人の思い出のために。当時読んだときのワクワクした思い出のために撮影をする。なので、あえて写真はあげない。

 手に持ったスマホとデジカメは一旦カバンに納めて、美しい森を通り過ぎた先の広い丘は《第3章:アートの国-世界が愛する永遠のアリス》。こちらでは各国を代表する国内外の芸術家たちが自己流のアプローチで見せる『アリス』が展示されている。山本容子清川あさみエリック・カール(『はらぺこあおむし』の作者)などの見やすく可愛らしい作品から前衛過ぎて反応に困る作品まで…(特にサルヴァドール・ダリとか草間彌生とかヤン・シュヴァンクマイエルとか)。

 また(私は参加しなかったが)大人気体験型イベント『リアル脱出ゲーム』とのコラボ企画もあり、展覧会に次々現れる謎を解き進めるのも楽しい(参加してみたけど閉館ギリギリだったから…)。ただ問題を解きつつ展覧も一緒に楽しむとしたら最低でも3時間ほど余裕見た方がいいかもしれない。あくまで私の悪い頭基準だが…。

 さて、ここまで嬉しい!楽しい!魅力的!と書いたアリス展だったが、ここでひとつ悲報が。実は私の行った横浜会場は11月17で終了しており、私の見た作品たちは今、次の会場である福岡市美術館(2019年12月3日~2020年1月19日)に向かっている。それ以降も、

静岡市美術館(2020年2月1日~3月29日)
名古屋市博物館(2020年4月18日~6月14日)
新潟市新津美術館(2020年6月27日~9月6日)

 とバンドのライブツアーのようにあなたの町の近くにやってくるので、興味のある方、アリスに思い入れのある方、リアル脱出ゲームファンの方、ぜひとも行ってみてください!

 とりあえず去った私は原作である『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』を読むことにしたいが本当に持っていないし、色んな出版社が出していてどこがいいのか悩むので、何かオススメの文庫版とかありましたら教えてください…。

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【本日の参考文献】

ルイス キャロル
新潮社
1994-02-25
楽天ブックス
 
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

【あとがき】

“前衛過ぎて反応に困る作品まで…(特にサルヴァドール・ダリとか草間彌生とかヤン・シュヴァンクマイエルとか)”

 と感想に書きましたが、ダリと草間彌生はだいたいの人が分かると思いますが、「ヤン・シュヴァンクマイエル」この人を知ってる人どれぐらいいますか。

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 ヤン・シュヴァンクマイエルチェコスロバキアプラハ出身の芸術家・映像作家なんですが、こういう作風なんですよ。

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 一応言っておきますが、今回のアリス展で実物見た正真正銘のアリスを題材にした作品です。芋虫とキノコとアリスらしき少女の顔があるでしょ。それ以外は謎だけど。

 このヤン・シュヴァンクマイエルシュルレアリスム(超現実主義)の歴史的巨匠でして、ダリや草間彌生と同様に結構な芸術眼を持っていないと理解に苦しむ代物でございます。現に今書いている自分も苦しんでいます…。

 そんな苦しむ人物のことを奇遇にもね、私知ってたんですよ。10年近く前、パソコンで最新映画予告を漁っていたら『サヴァイヴィング・ライフ ―夢は第二の人生―』というの見つけまして、あまりにシュールで奇妙でアートで何回か繰り返して見ていたんです(R18映画なので視聴は自己責任で)。


 仕事も家庭も楽しみのない男が夢の中に現れた美しい女性に恋をしたことで、この男の夢現を跨いだ奇妙な冒険が始まる内容なんですが、この監督がヤン・シュヴァンクマイエルだったわけです。

 接点のない写真と動画の切り貼りを撮影した本編映像に重ねることで実写とアニメの要素を掛け合わせた《ストップモーション》が観客に不可思議な体験を与える実験作でして、実際悪夢見たときの視界や感覚ってこれに近いと思います。少なくとも寝心地の悪い晩の私はこんな感じです。最近私が見た悪夢は女性になった自分の股間からグニュッと●●●が生えてきた夢でした。別に(※自主規制)にならなくたって年中生えてるというのに。いやいや主題ズレてもうた。

 何が言いたいのかといいますと、今回ので出展されたヤン・シュヴァンクマイエル監督が1988年に製作した映画『アリス』が、まさかAmazonプライムビデオで配信されてるの見つけたんですよ。そう、プライム会員なら見放題の分類で。

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 どうせ同じ月額払ってるなら見た方が断然お得ですし、正直どんな仕掛けで魅せてくるか気になりますし、レビュー欄でも高評価(しかも自分好みと分かる感想)、見る条件は完全に揃ってるのに二の足を踏んでしまうのです。

「何か精神的に堪える描写があったらどうしよ…」

 今回の記事だけでも●●●とか(※自主規制)とか好き勝手に書いといて実際はメンタル弱いマンです。受動と能動はコインの裏表と似ていて違うんです。自分で「無職」と言えても他人から「無職」とは言われたくないのです。

 これを「わがまま」と唱える他人は《パーソナルエリア(他人に近づかれると不快に感じる空間)》をご存じない?

 どんな言葉でも自分で発する以上は自分の範疇内だから、その言葉の真相のすべては知れてます。一方、外部しか見えてない他人からの言葉は同様に外部しか分かりません。その人は何を意図してそのように発したのか、ある程度の推測はできても真相は透明な闇の中です。

 これだからディスりは怖い!
 
 どう推測しても無責任と思うディスりは無責任に無視しましょう!!

 でも人事ではないな…。自分だってヤン・シュヴァンクマイエルの『アリス』を無責任にディスってるじゃないか。

 ここは一旦冷静になって、YouTubeで見つけた予告編の雰囲気で決めます。

 あっ、楽しそう…!(希望の光)