「桜の樹の下には、死体が埋まっている」
小説家 梶井基次郎が書いた文だ
彼曰く、桜の樹の下には死体があり
桜の根はその死体を受け止めるかのように包み
死体の血を吸い上げているらしい
そして、血は幹や花の養分になっていく
だから、桜の蕊や花弁は淡く美しく、そして切ないのだ
と、
その文を読んだ時、何かしら腑に落ちなかった
たとえ綺麗でも、結局は植物だ
雄蕊と雌蕊を合わせる為に
派手な色で虫を呼び込ませているだけにしか過ぎない
正直これが理系の考え方だ
けれど、実際に桜の下に行くと文章全ての意味に理解した
人間、犬猫、鳥、虫・・・
何が埋まっているかは分からないけど
その死体の存在を桜が花弁で代弁しているのかと思うと
全ての辻褄が合う気がした
「桜の樹の下には、死体が埋まっている」
自分の前にいる桜は誰かの代弁なのかな・・・
吹雪のように散る花弁の中での出来事だった