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好きと得意は別の話というか別の次元。

【-21- 野生の動物園|いくら水をやっても死んだ種から芽は出ない(2)】

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 中学3年間を振り返っても、この「1年2組」が最悪だった。

 前話も書いたとおり、ここは柵も檻もない動物園。そして気になるのがその数だ。多い、多すぎる。男子だけでもクラスの2割はいる。女子だけだとクラスの1割。黒髪だけど雰囲気的にそっち系の男子と女子を含めると確実に5割は超えて6,7割はいた。細かい計算は苦手だが、直感で多すぎることには気づけていた。他のクラスもこうなのか、校内散策を兼ねて様子を見てみましたが、どのクラスにも必ず不良はいるけれど、いわゆる「平均値」で男女を合わせてクラスの2,3割という感じだった。

 そして毎日昼休みになる度に全6組の不良たちが私のいる2組に集合するので、映画館行かずとも車と正義のないマッドマックスが五感で体験できた(もちろん作中の時間軸は2002年なので1979年版のイメージ)。学級オメラスから学級マッドマックス。治安すらなくなった。そして荒れた教室の隅にいるネズミどころかミミズの私は、やはり餌食になった。

 私の座る机を数人でニヤニヤ囲んで「1000円やるから死んで?」というライトなやつから、体育の校庭マラソンでクラスで一番足が遅い私がゴールしたと同時に体力と水分が消耗した状態で押し倒され、口の中に校庭の砂を溢れるぐらい口の中に入れられるというヘビーなやつまで。

 正直に言うと書いただけで息が苦しい。

 あと、このときは上履きを家に持って帰らなかった。理由は上履きの至る所に下品な落書きされたからだ。こんなの持って帰ったら絶対家族に何か言われる。もうこれ以上、面倒くさいことに巻き込まれたくない。結局、上履きは一年を通して下駄箱に住み続けた。

 その結果、家で洗うことができないので落書き以外の部分は真っ黒に汚れて悪臭も膨れ、さらに成長期真っ盛りだった足先は月日を重ねる毎に指先を圧迫してしまい、とうとう爪先の覆うゴム部分を突き破った。そして白い靴下に覆われて飛び出た指の骨格は「纏足(てんそく)」みたいに前のめり気味に折れ曲がってしまった。纏足は歩きづらいから自動的に猫背にもなった。上履きの指先部分は破れているので歩く度にカスタネットみたいに上下から空気を割って、愉快にもパカパカと鳴っていた。

 相変わらず遠くは見えないし言葉も言い返せない。幼少からのアトピーの痕が制服の保護区外に露出していった。これが中学1年の私の姿。ピエロにも程がある。

 話が少し戻るが、先ほど「下品な落書き」と書いた通り、とにかく落書きの内容が下品だった。バカとか死ねとか暴言も書かれたけれど、なぜか圧倒的に男性器の絵が多かった。

 中学生だから少なからず性に興味あるとしても、女性の胸とか尻とか性器とかが一切なく、小さいやつから大きいやつ、大変リアルな包茎、勃起、自慰、射精……そういうのが8割以上を占めていた。

 最初は「そういう嫌がらせか」と黙って受け流していたが、数日後、体操着に着替えてた途中のこと。後ろから誰かにジャージのズボンをストンッ! と引きずり落とされた。

 うん、まぁ、これ自体は中学生の間ではよくある遊び。それほど慌てることはn(次はパンツを引きずり落とされた)…うわぁぁぁぁ?!!!(と叫ぶ前に私の男性器が強く握りながら引きずり落とされた)いっってっぇええ!!!!!(一瞬ちぎれたかと思ったぐらいの力で引っ張られた)

 この数秒間で自分の身に起こったことが整理できず、教室が大爆笑の中を急いでズボンとパンツ上げて、痛い股間を押さえながら黙って地べたに座り込んだ。

「(何だよ…)」

 視線の先には例の不良たちが私の性器触っただの引いただのワーキャー騒いでいた。

「(何なんだよコイツら…)」

 とにかく出た冷や汗が凄まじかった。

 それからまた数日が経って、国語の自習時間が図書室で読書だったとき、座っていた長机の端で不良たちが団子状に集まって、何かの本をマジマジと見ていた。

 何をあんな真剣に見ているんだろう…。

 止めればいいのに本棚に移動するついでにバレないよう彼らの隙間をこっそりと後ろから覗いた。それは人体図鑑で開いていたページの図には鮮明な「男性器」が描かれていた。こういうのって何というか、女性のページ見るものじゃ…?
「なぁ これデカくね? すっげぇデカくね!?」と、誰も後ろにいる私に気づかないぐらい全員が興奮気味に食いついて見ていた。

「(チ〇コで盛り上がるって小学生かよ)」

 そう思いながら座っていた席にひっそりと戻った。この時もだし、最初から気づくべきだった。彼らに薔薇が咲き始めていたことを。またその薔薇には血を出すほどの棘があることも。

 そういえば担任の話を書いていなかったが、1年2組の担任は「矢板保」という男性の理科教師だった。矢板先生は長渕剛の大ファンで、教室の壁にコンサートタオルを飾るぐらい熱狂的だった。授業のヒマさえあれば長渕剛の武勇伝を語っていた。良くも良い人だったが、悪くもそれだけだった。

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【本日の参考文献】

橋本尚詞 
成美堂出版
2010-03-09
楽天ブックス
 
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【あとがき】

 誰よりも足が遅かった理由の一つに纏足だったのも少しあります。

 それから家族に足がバレた先の成長期はできるだけサンダルや大きめの靴などを履き、纏足気味だった足指は普通に前に伸ばせるまでに戻せました。

 ただ、それでもベースとなる骨格は残っいてるのか、足の指でグーをやると今でも皮膚を突き破りそうなほど中の骨が飛び出てきます。

 問題の上履きですが、その後どうしたのか全く覚えていません。もしかしたら部屋のどこかに残ってるかもしれないし、無意識でどこか道端に捨てたかもしれない。どの道にしろ再会したくない。

 当時の別の日の下校途中、私の歩く前に同じ方向に進むウチの制服着た女子生徒2人が並んでいました。

 仲良く手を繋いでいたのですが、何だか手のシルエットが不自然で…目の悪い私でも分かるぐらいの「恋人つなぎ」の形をしていました。

 自分男だから分からないんですが、仲良い女子同士って一般的にそういうものなんでしょうか…?

 とにかくウチの学校の同性グループは仲が良いんです。若干スキンシップが激しいんです。怪しい意味は…知りません。