ボケ:見坊
ツッコミ:御津子
〇演芸場・舞台
御津子
「そうですねー。大人がやったら恥ずかしい事も『学生の特権』として出来ましたからね!」
見坊
「じゃあ体験してみます?」
御津子
「おっ! やりましょうか」
見坊
「お前さっきから下のファスナー開いてっぞ」
御津子
「それ学生関係なく恥ずかしい事だろ…。つか出てくる前に言えよ」
見坊
「やっぱり一番良い思い出と言ったら恋バナ系ですよね?」
御津子
「女子かいっ」
見坊
「えっ…俺に隠れてそんなのやってたのか」
御津子
「いや『女子会』じゃなくて『女子かいっ』! 変な所でツッコませんじゃないよ。でもオレら男子校だったんで女子との甘酸っぱい恋愛とか憧れましたね」
見坊
「お願いしますっ!」
御津子
「え~どうしよっかな~?」
見坊
「娘さんをください!」
御津子
「ご両親への挨拶かよ! そんな硬派な学生いるか!! しかも『どうしよっかな~?』なんて言ってバカじゃねぇか」
見坊
「うん、お前のお父さんバカだな」
御津子
「やめろ! 何気にオレの親父ディスんなっ」
見坊
「あと誰が好きとか噂話も盛り上がりますよね」
御津子
「これっ! 本人より周りが盛り上がっちゃうんですよね~!」
「隣のクラスのあの子、お前のことが好きらしいぞ?」
見坊
「おいおい『あの子』って隠してるけど、本当はお前だろ?」
御津子
「オレじゃねぇよ! 気持ち悪いこと言うな!」
見坊
「あ、一応言っておくが俺、ノーマルだからな?」
御津子
「言わなくても知ってるよ! オレだってノーマルだ」
見坊
「お前…異性愛者なのか?」
御津子
「あ、えっ、ややこしい表現してくんな! 一瞬答えを迷っただろ」
「それで本人に伝えると、割とまんざらじゃない反応したりするんですよね」
見坊
「へーそうなの? まぁー別に俺も嫌いじゃないし?」
御津子
「あれ~? お前あの子のこと好きなの?」
見坊
「おまっ…好きといっても、そういう意味じゃないからな!?」
御津子
「はいはい、みんなそう言うんですよね。もう手遅れなのに」
見坊
「あくまで頭文字『L』の好きって意味だから!!」
御津子、1秒黙って考える。
御津子
「……すまんが今オレの頭の中にLから始まる『好き』って意味の英単語2つあるんですが?」
見坊
「マジか! お前物知りだな!」
御津子
「中1レベルだよ! 中学最初のテストに出てくるわっ」
見坊
「中学といえば、学生時代って楽しかっ…」
見坊の台詞にかぶせ気味で御津子が叫ぶ。
御津子
「最初に戻すなっ! ネタの時間決められてんだよ!!」
見坊
「時間て、このボケ作ったのお前だろ?」
御津子
「てめぇバラすんじゃねぇよ!!! あーもームカついた。お前そのLから始まる英単語、今ここで言えよ? そういう意味じゃないなら言えるよなぁ?」
見坊
「お、お前…Sだな!? イニシャルどおり『S』だな!!」
御津子
「いや、イニシャル『M』ですが?」
見坊
「Mなのか?」
御津子
「んー? ちょいMかな」
見坊
「…うわぁ」
御津子
「引いてんじゃないよ! お前が引くとお客さんも引くだろ」
見坊、目の前に座る客に言う。
見坊
「やっぱ引きますよね?」
御津子
「目の前のお客さんに聞くな! ごめんなさいね、楽しいネタの途中なのに」
見坊
「こいつ自分で楽しいネタって言ったよ」
御津子
「このボケはてめぇが作ったんだるぉが! このさい連帯責任だわ」
見坊
「あのぉー、時間押してるんで早く答えてくれませんか?」
御津子
「誰のせいだと思ってんだ! えっと、ヒントよこせヒント」
見坊
「おっと、罰ゲームを引き替えにヒント獲得!」
御津子
「罰ゲームもヘったくれもねぇだろ…」
見坊
「ヒント バァーーバンッ!!」
御津子
「効果音いらねぇよ」
見坊
「どうしました、ヒント出しましたよ?」
御津子
「あっ『バァーーバンッ!!』がヒントだったの!? こりゃ一本とられたわ~!! なんだこれっ」
見坊
「それはこっちのセリフだよ、なんだそれ」
御津子
「やかましいなぁ、いいからヒントよこせ」
見坊
「もー分かったよ……す、スペル4文字だ!」
御津子
「…どっちも4文字だよ!! 今までの時間返せ!!」
見坊、低めのカッコいい声で言う。
見坊
「失った時間はさ、もう取り戻せないんだぜ?」
御津子
「そのボケる時間もムダなんだよ! しかもそれ、ドラえもんがのび太に言った教訓じゃねえか!!」
1秒後に御津子、一旦客席を見ながら手を振る。
御津子
「あっ、ありがとうございます!」
見坊
「誰も拍手してないぞ」
御津子
「ちょっとは夢見させろっ!!」
見坊
「そうやって現実見ない人には罰ゲームだ」
御津子
「さっきの設定まだ生きてたのか……んで罰ゲームは何?」
見坊
「先ほどあなたが言った『特定著作権物名の使用料支払い』」
御津子
「さっきのドラえもん!? やめなさい、罰がエグすぎるっ!! ただでさえウチら若手は手取り450円で仕事やってんのに……」
見坊
「えっ、お前の手取り450円なの!? なにそれ低すぎ! 笑えない!!」
御津子
「お前も同じだろ!! 1人当たり225円じゃ!!」
見坊
「AKB48なら1人9.375円だな」
御津子
「こんな狭い舞台に48人も立てるかっ!! てかお前計算早いなっ!! その早さで次のヒントよこせ」
見坊
「では罰ゲー…」
見坊の台詞にかぶせ気味で御津子が叫ぶ。
御津子
「ナッシング!!!!」
見坊
「じゃあヒントな……最後の文字は『e』だ!!」
御津子
「…どっちも最後『e』だよ!! 別のヒントよこせ!!」
見坊
「じゃあ次のヒントは……最初の文字は『ラ』だ!!!」
御津子
「…だからどっちも発音最初『ラ』なんだよ!!! てめぇヒント下手くそか!!?」
見坊
「でも、それって問題上手って意味だよね?」
見坊、自慢げな表情をする。
御津子
「うっさいわ!! ドヤ顔やめろ!! じゃあお前あれだ、読み方は何文字だ? これなら避けられないぞ!」
見坊
「はぁ読み方? そんなの分かんねぇし」
御津子
「ハイもう遅いですぅー! 今更はぐらかしても遅いですぅー!」
見坊、低めのカッコいい声で言う。
見坊
「読み方なんて、恋する人の数だけあるだろ?」
御津子
「なんだコイツ!!! さらっとお洒落にかわしやがって……もういい、Lの次の文字を言え。早く言え」
見坊
「Lの次って、それ答えじゃん…」
御津子
「頼む…頼むからLの次を言ってくれ…」
見坊
「……『i』だけど?」
御津子
「お前マジか、ここまで来てつまんねぇことを……『Like』か」
見坊
「『Life』だよ」
御津子
「ベタ惚れじゃねぇか!! もういいよ」
見坊・御津子
「「ありがとうございました!!」」
(おわり)