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好きと得意は別の話というか別の次元。

┣ディスレクシア・カタルシス

【-19- 笑う窓には福来る|ディスレクシア・カタルシス(20)】

小学校と中学校の間にある春休みの金曜日のこと。 私はリビングで少し夜更かしをしていた。とはいっても夜更かしなんて正直な話、何をすればいいのか、あまりよく分かっていなかった(だったら早く寝ろ、と言いたいだろうがもう少し我慢を)。 私の机がある部…

【-18- ハツカネズミの教室|ディスレクシア・カタルシス(19)】

普通学級と同じく“大人の事情”で数年前の時点で今通っている支援学級は、私の卒業と共に廃校が決定されていた。 いわば私が最後の生徒。 そして中学での通級予定はないので、ここが伴先生との授業そしてリハビリ終了になる。 今まで支援学級の話をあまり書か…

【-17- 落下の法則|ディスレクシア・カタルシス(18)】

2001年。12歳。小学6年生。 21世紀の始まりもあり世界中が希望に満ちていたが、9月11日に発生したアメリカ同時多発テロにより世界中の希望は、あの高層ビルのように出鼻を挫かれる結果に陥った。 一方、テロが起こる前のアメリカから遠く離れて、私の居たク…

【-16- 透明な黒板|ディスレクシア・カタルシス(17)】

小さい頃から生き物が大好きだった。 だけど犬や猫を飼ったことはない。小鳥もなければウサギやネズミもない。ただし魚に関して言えば人より多く飼った経験はある。 理由の一つに住んでいる家がペット厳禁の古い賃貸マンションだってこともあるが、現場肌の…

【-15- クーデター(後編)|ディスレクシア・カタルシス(16)】

わが家の電話機が鳴った。通話相手は知能検査関連の職員。数日前に受けた私の検査結果の報告だった。 4歳に受けた知能検査はマンツーマンの個別形式だったが、今回受けたのは私1人に対して専門家複数人が診断してポイントを測定する、本格的な『面接形式』で…

【-15- クーデター(前編)|ディスレクシア・カタルシス(15)】

1999年。10歳。小学4年生。 100年に及んだ1900年代も300日あまりを残していた。世間では『ノストラダムスの大予言(7月)』の年により「地球滅びるのどうなの?」的な関連書籍が爆発的ベストセラーしている一方、小学生の世間では『ポケットモンスター 金・銀(…

【-14- 私は山に行く|ディスレクシア・カタルシス(14)】

普通学級の授業が怒号の鳴り止まないスパルタ系だった。それに対して特殊学級の授業では説教はなく、出来た分だけ褒めてくれた。 そもそも人間とは理由なく怒鳴られると理由なく反発する生き物である。もちろん、ちゃんとした「理由」があって初めて説教にな…

【-13- ダメとムチ|ディスレクシア・カタルシス(13)】

前話にて私の小学校プランの一連を書いて、何だか一件落着感が漂っているが、現実はそうではなかった。 普通学級で私の担任になった人は中年の眉間にシワが切り刻まれた、何とも気難しい顔する女性の先生だった。 名前を「土屋文玲」先生として、土屋先生の…

【-12- 39(サンジューク)|ディスレクシア・カタルシス(12)】

立春も過ぎて卒園も近づく6歳の私。 4月から普通の小学生。理論上では。 いくら検査をクリアしたとはいえ、現に文字と言葉を認識出来ていない。本人が真面目に授業を受けているつもりでも、黒板の文字も読めないし書き写せない。先生の話す説明や内容も理解…

【-11- レイクサイド・ケース|ディスレクシア・カタルシス(11)】

同じ幼稚園時代の中の少しさかのぼった頃のこと。 その当時、私は地元にある軽度障害児のリハビリ会に所属していた。そこである年の夏休みに静かな湖畔にあるログハウスで1泊2日の『お泊まり会』が計画された。 「子供の自立心を育てるのに良いね!」 どこの…

【-10- 電話機は煙草の夢を見るか?|ディスレクシア・カタルシス(10)】

規定数値より3つ多いだけだが、分類では健常児ボックスに分けられることになった私は4歳を過ぎて“普通”の幼稚園に通っていた。 幼稚園。それは人生で最初に通る社会の交流場。「会社にはスーツ」「学校には制服」のように、この交流場にも「ドレスコード」が…

【-9- 永遠の旅行者|ディスレクシア・カタルシス(9)】

ここは数日前に知能検査を受けた施設の一室。部屋には結果を待つ母と私と結果を持つ医者こと先生。手帳とその先にある将来が決まる分、その空気は張りつめていた。 まず簡潔に知能検査の説明すると「集団式」と「個別式」の2種類があるのだが、私が受けたの…

【-8- 緑カバーの手帖|ディスレクシア・カタルシス(8)】

時は1993年。さらなる体の成長とともに癇癪はどこかに消えて、その反動に物静かな4歳児となった。けれども発言は相も変わらず「お、お、お」としか言えなかった。そんな私は重大な分かれ道の前に立つことになる。 『障害者認定』 いわゆる「障害者手帳」を正…

【-7- お・お・お|ディスレクシア・カタルシス(7)】

ここまでの私をまとめると「あああああ」と絶叫する異常な子供だった。でも3歳を過ぎるとさすがに違った。 よちよちあんよで3歩進み(※当時3歳) 全身の力を使い布団寝返り(※当時3歳) でも下半身の栓は閉められず(※当時3歳) なにより当時の私の大変お喋りで 「…

【-6- センス・オブ・ワンダー|ディスレクシア・カタルシス(6)】

「きっと『センス・オブ・ワンダー』なのよ!」 異常すぎる癇癪を起こす私を、母の友達はそう言った。 『センス・オブ・ワンダー』とは……「(自然など)一定の対象に触れることで受ける、ある種の不思議な感動、または不思議な心理的感覚を表現する概念であり…

【-5- 悪霊童|ディスレクシア・カタルシス(5)】

それからの生活はというと「安心」とは程遠いもので、前回も書いた通り、とにかく泣きぐずる沸点が低い子だった。 「癇癪持ち」 そう言えばそうなのだが、ただこの単語が抱えるキャパを遥かに超えていた。 普通、赤ちゃんの泣き声というと えーん えーん え…

【-4- 専門医は見た!|ディスレクシア・カタルシス(4)】

都心から外れた閑静な場所にある大きい専門施設。ここの専門医は私をどう診断するか。 案内された広いベビーベッドがある診療室で、いくつかのテストが行われた。この時、母は別室で待機していたのだが、特に泣き声とか聞こえてこなくて驚いたらしい。 実を…

【-3- 定期検診騒動|ディスレクシア・カタルシス(3)】

突然だが、赤ちゃんが産まれてから約3ヶ月辺りを過ぎると区役所から「定期検診受診の通知」が届く。 これは3,4ヶ月など特定の時期を過ぎた赤ちゃんの健康状態を見るもので、各地域の近くの病院や保健センターで無料で受診する。 この定期検診では問診、心音…

【-2- 母乳児|ディスレクシア・カタルシス(2)】

今までのトラブルが嘘のように病室内は穏やかだった。 起きてるものの私は静かにくつろいでいて、そんな私を母は静かに抱えており、その横には静かに見守るスタッフさんもいた。 「もうすぐ赤ちゃんに食事を与える時間です」と用意されたほ乳瓶が母に渡され…

【-1- ビギナーズ・ラック|ディスレクシア・カタルシス(1)】

『ビギナーズラック《beginner's luck》』……「賭け事などで、初心者が往々にして得る幸運」(引用:大辞林 第三版) よく映画やドラマで初めて宝くじを買った主人公が1等を当てる場面がある。 逆に同じような奇跡に近い確率で主人公が命の危機を脱出する場面も…